コキア並ぶ

国営ひたち海浜公園に行った。

普段は混雑が予想されるところにあえて向かうのはあまりしない主義だが、今日は特別。本日は無料で入場できる日らしく、入り口ゲートから入ると園内の道には行列ができていた。皆向かう方向は同じなのだ。前の人についてぞろぞろ歩く。急ぐ人は誰もいないし、家族連れや夫婦、友達、カップル、犬まで各々が幸せな時間を過ごしているように見えた。各々が幸せで公園全体が幸せの権化のようだった。こんな完璧な休日があるだろうか。秋の晴れた日曜日。

そしてコキア。ワイン色した丸い何かが地面にくっついている。生えているというよりくっついている。もし高い空から見下ろしたらウメ味のミンツが並んでいるように見えるかもしれない。こんな斜面なのに転がらずに行儀いいと思ったらコキアである。

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コキアが斜面から転がる時は音もなくころころ下ると思う。ふさふさころころして、誰かの足下にぶつかって止まる。歩けばころころ着いてきて、もしかしたら懐くんじゃないか、というくらいはどこか植物とは違った生き物感があった。海底に棲んでいる未発見の生物が並んでいるみたいに、見たことのない景色だった。